脳と肥満(2) リバウンドと脳

こんにちは、明大前のトレーニング&コンディショニングスタジオ スタジオ菴の河合です。

 

前回は、脂肪細胞から出るホルモンによって脳が代謝などをコントロールしているというお話でした。

代謝をコントロールしているならば、太りすぎるということはないはずなのになぜか肥満が起こります。

大量のハンバーガー

今回は、その肥満の原因の一つである過食がなぜ起こるのかをホルモンの観点から見ていきます。

太りやすい人はドーパミンが少ない?

突然ですが、「ドーパミン」って聞いたことないですか?

脳が快楽を感じる直接の物質で、

・楽しいことをしているとき
・他人に褒められたとき
・恋愛感情やときめきを感じているとき
・美味しいものを食べているとき

などに脳内で放出されるホルモンです。

 

楽しいことに熱中していて、時間がたつのも忘れてしまった。
好きな人とついつい長電話をしてしまった。
なんて経験はないでしょうか。そんな時は、一区切りつくまで空腹感を感じることはないですよね?

 

ある実験では、脳内のドーパミン量を薬によって増やすと食欲は低下し、減らすと食欲は増加するという結果が出ました。

また、太りやすい人は、このドーパミンの放出が少なかったり受容体の感度が鈍かったりすることがわかっています。

ドーパミンの量が少ない = いつまでも満足できない

という状態になっているため、食欲が増加したまま、いつまでも食べ続け満足するころには必要なカロリーを大幅に超えてしまうというわけです。

 

原因はストレス

過食が起こる主な原因はストレスだと考えられています。

 

女性に摂食障害が多いのは、「美しく見られたい」「痩せないといけない」などの過度な強迫観念が多いせいではないでしょうか。

特に、雑誌のグラビアなどで痩せているモデルさんなどを見るとその傾向は強くなるようです。

海外では、グラビアに登場するモデルは、痩せすぎている人は逆に採用されなかったり、雑誌で画像加工をしている場合は、加工されていることを明記することが義務付けられているそうです。

 

グラビアモデルに憧れて摂食障害の若年化が進んでいることも原因だそうですよ。

日本では、画像加工の明記は義務付けられていませんが、多くの画像が加工されていることは覚えておいてくださいね。

 

極端な食事制限がリバウンドを起こす

極端な食事制限をしてせっかく痩せたのにリバウンドしてしまったというお話はよく聞きますよね。

食事制限によって脂肪だけでなく筋肉も低下してしまった。
飢餓状態になった肉体が必要以上に脂肪を貯め込もうとする。

など、いろいろな原因が考えられますが、実は脳にも影響があったんです。

 

ミネソタ大学で行われた有名な実験で、健康な若者36人に半年間の食事制限した後、制限を解除するというものがあります。

実験では、ストレスからか食事の制限中に、イライラや抑うつなどの精神病的症状を提示し食品を盗んだり残飯を漁るなどの異常行動を提示する被験者も現れました。

そして食事制限を解除してからも、飢餓から来るストレスの解消に最長で5カ月もかかりました。

被験者は、食事制限を解除されたのちコントロール不能な食欲や食べ物への極端な執着を提示したそうです。

 

このように急激な食事制限は、食べ物へのより強い依存を招き、必要以上にカロリーを取りすぎて結果リバウンドしてしまうわけです。

 

無理なダイエットは控えて、食事以外に時間を忘れるぐらい打ち込めてストレス発散できるものを見つけるのが脳にとっては良いようですね。