インナーマッスルで怪我を予防しよう

プランク運動をする女性

インナーマッスルという言葉を聞いたことがありますか?

ピラティスなどが注目され始めた頃にかなり話題になって、「インナーマッスルを鍛えよう」と雑誌などでも取り上げられましたよね。

でも、そもそもインナーマッスルはどんな筋肉で、どんな働きをしているのでしょうか。

今日は、そんなインナーマッスルで怪我を予防しようというお話です。

そもそもインナーマッスルってなに?

通常、筋トレなどで鍛える筋肉は、インナーマッスルに対してアウターマッスルと呼ばれることがあります。

これは、インナーマッスルが身体の中心に近い深層に多く位置していることから、つけられたのではないかと思われます。

しかし、実はどこからが表面でどこからが深層なのかという明確な線があるわけではなく、それぞれの筋肉の役割や付着している部分でどちら寄りかというイメージに近い感じです。

動作に関係する筋肉/安定に関係する筋肉

筋肉の主な役割は、関節を跨いで関節を動かすことです。例えば、肘を曲げたときには力こぶを作る上腕二頭筋が収縮して肘の関節が曲がります。

この時に、上腕二頭筋だけだと関節がズレてしまったり、必要以上に外側に捻ってしまったりすることになります。

このように同じような関節の動きに対して働くのですが、曲げる筋力としては補助的な役割ですが関節の動きを安定させるために使われている筋肉があります。

このように動きの安定を主にしている筋肉が、インナーマッスルと呼ばれている筋肉に多く存在しています。

主なインナーマッスル

インナーマッスルとして有名なものが、肩関節にある回旋筋腱板と呼ばれる筋肉群です。

また、ピラティスでコアやパワーハウスと呼ばれるお腹周りの筋肉も有名ですね。

ちなみに、一般的に腹筋運動で使われる腹直筋や腹斜筋は身体を前屈したり回旋したりする動作に関係する筋肉なので、インナーマッスルという分類にはなっていません。

腹部のインナーマッスルを鍛えるために腹筋運動をするのは間違いなので気をつけてくださいね。

なぜ、怪我の予防になるの?

インナーマッスルは、主に関節を安定させる筋肉です。

主なインナーマッスルとして紹介した回旋筋腱板と呼ばれる肩にある筋肉群は、肩甲骨と上腕骨(腕の骨)をつないでおり、肩の動きに合わせてそれぞれが安定するように収縮しています。

肩関節は元々可動域を大きく保つために、他の関節に比べて靭帯などによる制限が小さく股関節などのように凹凸で噛み合っている状態でもありません。

肩関節の脱臼が起こりやすいのはこのためです。

また、360度近い動きをするために、胸、背中、肩、腕と多くの筋肉が動作に関わっています。

骨格も肩甲骨だけでなく鎖骨もその動きに関係してきます。

このように関節としては不安定になりやすく多くの筋肉の影響を受けてしまうために、肩関節は怪我のリスクも高くなっているんです。

これらの多くの筋肉の動きから、上腕骨がズレるのを守っているのが回旋筋腱板です。

回旋筋腱板は、上腕骨の肩に近い部分の周りについて身体の外側にかかる力に対して、上腕骨を肩に引き寄せるような形で働きます。

これらが強調して働くことで肩関節を守っているんです。

ところが、インナーマッスルとアウターマッスルのバランスが崩れたり、インナーマッスルがうまく機能しなかったりすると、上腕骨がズレて肩周りの組織を損傷したり、肩から骨が外れてしまったりということが起きてしまいます。

これらは、スポーツの現場だけではなく、実は四十肩などの肩の痛みの原因になっていることもあるんです。

近年、最近はパソコンなどで長時間背中を丸めた体勢で肩を大きく巻き込む「巻き肩」の人が増えています。

そうすると、胸の筋肉が硬くなってしまい上腕骨を前側に引っ張ったままにしてしまいます。

その状態で肩を動かすとズレた状態で肩が動いて、動きの蓄積の結果として肩周りの組織の損傷を起こしてしまうんです。

インナーマッスルの鍛え方

インナーマッスルは、その多くが小さな筋肉です。

なので、普通の筋トレで使うようなダンベルやバーベルを使ったトレーニングの必要はありません。

必要な時にしっかり動かせるように動かしてあげることと、固まっている場合にはストレッチをすることが効果的です。

例えば、コアのインナーマッスルである腹横筋は、腹式呼吸を行うことで動かすことが出来ます。

他にも骨盤的筋群は意識して引き締める(おしっこを我慢する感じ)、横隔膜は肋骨の動きを意識しながら呼吸するなど、自宅で簡単にできるものばかりです。

気をつけたいのは、動きが小さいためどうしても他の筋肉を使って動かしてしまいやすいということ。

例えば、回旋筋腱板のトレーニングでは肩甲骨を動かさずに上腕骨を内外旋するのですが、ついつい肩甲骨ごと動かしてしまいやすいです。

肩の内外旋

動きの範囲などを知って、動かしすぎないように適切なトレーニングをすることが大切ですよ。

まとめ

今回は、聞いたことはあるけどなんだかわからない人も多いインナーマッスルについてのお話でした。

特に、肩関節を痛めている人は多いので、回旋筋腱板のトレーニングについては改めてお届けできたらと思っています。

お楽しみに!