【素朴な疑問】骨盤の前傾、後傾ってなんのこと?
- 素朴な疑問
- 2021/12/18
- 2024/06/04
骨盤の傾き
骨盤は、大きく分けると仙骨、尾てい骨と寛骨(恥骨、腸骨、坐骨)に分けられます。
仙骨は、背骨の土台になる骨で背骨の状態に影響します。
骨盤は横から見ると少し前に傾いているぐらいの状態が正常な位置になります。
前方に傾きが強い場合は前傾や過前傾と呼ばれて背骨が強く前に倒れるので反り腰などになりやすく、逆に後ろ側に傾いていると後傾と呼び背骨の腰部分が丸まりやすくなり猫背などになりやすくなります。
では、実際に骨盤が過前傾や後傾しているのかどうかをチェックしてみましょう。
壁に後頭部と背中、お尻を付けた状態で立ちます。この時踵は壁から少し離れていても大丈夫です。
腰のところに手のひらを入れてみましょう。
正常な傾きであれば、手のひら1枚分ぐらいの隙間があるのでピッタリと手が入るはずです。
過前傾の場合は手のひら1枚分よりも大きく、後傾の場合は指先ぐらいしか入らないか腰の部分がピッタリとくっついてしまっている状態です。どちらもあまりいい状態とは言えないですね。
前後傾の原因
骨盤が、前や後ろに強く傾いてしまう原因は、骨盤を取り巻く筋肉のバランスが崩れてしまっていることにあります。
骨盤には、腹筋群、腸腰筋、背筋群、臀筋群(お尻周りの筋肉)、大腿直筋(太もも前の筋肉)、ハムストリング(太もも後ろの筋肉)、内転筋と上下から大小様々な筋肉が付着しています。
通常は、これらの筋肉がバランス良く引っ張りあって骨盤を正しい位置に保っているのですが、姿勢が悪いなどの理由から一部の筋肉が弱くなったり、硬くなったりするとそのバランスが崩れて骨盤が傾いてしまうのです。
長時間座ったままでパソコン作業をしたり、柔らかすぎるソファなどで腰が丸まった状態でいたりすると腰や背中の筋肉が固まりやすくなります。
また、筋力が弱い人がヒールなどを履くと太もも前の筋肉や腸腰筋などの一部の筋肉に力が集中して硬直させるために腰が反りやすくなってきます。
このような日常の中での姿勢の悪化が筋肉の硬直を引き起こして、骨盤を前や後ろに引っ張ってしまうことで骨盤の傾きが変わってきてしまいます。
一度崩れてしまうと崩れたままのバランスを保つような筋肉の使い方をするので、前後傾のままで固定されていきます。
骨盤が傾いて固定されてしまうと背骨の土台部分である仙骨も一緒に傾くことになるので、背骨全体が仙骨の傾きに合わせて動くために反り腰や猫背を引き起こすことになります。
骨盤をニュートラルに戻そう
骨盤の角度が過前傾や後傾になっていると感じた場合は、正しい位置に戻していきましょう。
過前傾の場合
腰の部分が手のひら1枚分以上に開いている過前傾は、ハイヒールを頻繁に履いたり、お尻を意識しすぎて腰を反らしてしまう人がなりやすく女性に多い特徴があります。
爪先に重心を置きやすく、太ももの前をつっぱらせて立つクセがあるので大腿直筋という太ももの前の筋肉が強く張っており、また腸腰筋という股関節を曲げる筋肉が常に緊張している状態です。
太ももの前を伸ばす場合は、膝を曲げた状態で寝転ぶハードル選手のような体勢になるハードラーストレッチなどのストレッチがありますが膝への負担が大きくなるので、筋肉が硬い人にはあまりオススメできません。
できれば、太ももを圧迫するストレッチポールでのストレッチにチャレンジしてみてください。
ストレッチポールに太ももを乗せて上下に動かしたり、膝を曲げ伸ばしすることで太ももの前の筋肉を緩める効果があります。
ゴロゴロ動かした時に痛みや強い圧迫感があるところが、硬く凝っているところなので止まって10~40秒ぐらい体重をかけて圧迫していくと効果的です。
この時、腹筋が弱っていると腰が反って負担がかかるので、お腹の下にも補助的にクッションを入れるなどして腰の負担を軽減してあげてください。
腸腰筋に関しては、股関節を曲げながら背骨の腰部分を反らせるというちょっと複雑な収縮の仕方をするため、ストレッチが難しい筋肉です。
しっかり伸ばしたいという方は、できればトレーナーやインストラクターに指導してもらいましょう。
腰の部分だけであれば、膝を抱えて腰を丸めるような動作で伸ばすことが出来ますよ。
後傾の場合
腰の部分が丸まって手のひらが入らない後傾の場合は、椅子の座面の前半分に座って背もたれに背中全体の体重をかけるような座り方をしたり、沈み込むようなソファにずっと座るとなりやすくなります。
長座をすると骨盤が立たなかったり、前屈がマイナスの人など男性に多い傾向があります。
お尻の筋肉や太ももの裏のハムストリングスが硬くなっているため、お尻が垂れたようになり下腹部がぽっこりしているのが特徴です。
まず、骨盤を引き下げてしまいやすいお尻のストレッチは、片足を反対の膝に引っ掛けます。かなり硬い人はこれだけでも伸び感を感じることがあります。
もし伸び感が足りなければ、足を引っ掛けたまま寝転んで引っ掛けられている方の膝を胸に引きつけると、より強く伸ばすことが出来ますよ。
ハムストリングスのストレッチは、坐骨を触りながら、坐骨を天井に引っ張るようにしてゆっくり動かしていきます。
ハムストリングスの硬い人は無理をしないで膝を軽く曲げたままでも充分ストレッチ出来ます。
両足いっぺんにではなく、片足ずつやると安定しながらゆっくり伸ばすことが出来ますよ。
原因を改善する
筋肉を緩めることで動きを改善しても原因となっている環境が変わらなければ、また筋肉を固めてしまうことになります。
原因となっている生活環境もしっかり見直していきましょう。
座る姿勢が悪い場合は、椅子やソファを変えたり座面を補助してくれるクッションなどを使って、骨盤をしっかり安定させて座るクセをつけましょう。
長時間座る場合は筋肉が固まらないように、時々ストレッチや軽い体操をするなど身体をこまめに動かすようにしてくださいね。
過前傾の原因になりやすいヒールは足にも負担をかけやすいので、スニーカーなどに変えられれば変えましょう。
お仕事の都合などで難しい場合は、ヒールをキチンと履くための筋肉をつけるトレーニングをするという手もありますよ。
ピラティスなどで身体をコントロールする感覚をつかむことで、身体の状態を安定させることもできます。
できるだけ、身体に負担をかけないような環境を目指してくださいね。
まとめ
上半身と下半身をつないでいる骨盤は、背骨の一部である仙骨も構成要素であるためにその角度が変わると身体全体に影響します。
また、腹圧が下がったり筋肉が固まることで血流が悪くなるなど内臓への影響もあるので、早めにストレッチなどをして筋肉が固まりすぎないようにケアしてあげてくださいね。